自由発祥の地

フランス

自由の女神といえばニューヨークのシンボルですが、実はこの女神像、アメリカの独立100周年の記念にフランスから贈られたものです。自由の女神のモデルは「マリアンヌ」の愛称で親しまれているフランス共和国のシンボル。フランス革命によりルイ16世が処刑され、その代わりとしてこの古代の女神像が国の象徴・自由の象徴としてフランス国民に親しまれてきました。

20サンチーム(1968)
1フラン(1992)

マリアンヌがかぶっている独特の形の帽子はフリギア帽といって、これもまた自由の象徴です。

5フラン(1971)

この2フラン硬貨のデザインのタイトルは「種蒔く人」。ミレーの同名の作品(岩波書店のマークとしてお馴染みですね)では種を蒔いているのは男性ですが、ここではやはりフリギア帽をかぶった若い女性として描かれています。

これらのコインには他にも共通点が見られます。まずは「LIBERTE EGALITE FRATERNITE」という標語。対応する英単語はそれぞれ「liberty」「equality」「fraternity(brotherと同語源)」で、日本語には「自由・平等・博愛」と訳されていますね。これも革命時代の標語で、フランス人がいかにフランス革命を誇りに思っているかが伝わってきます。因みにフランスの国旗である三色旗(トリコロール)もこの三つの標語を象徴しています。

また、よくよく見るとどのコインにも年号の左右に小さな記号みたいなものが刻印されていることに気付きます。これはプリヴィ・マークと呼ばれるもので、左側が造幣局、右側が彫版の責任者を表しています。造幣局の方はコルヌコピア(豊饒の角)と呼ばれるデザインで最近はほとんど変化していないのですが、彫版者マークには下のようなバリエーションがあります。

フクロウ
(1958-1974)

(1974-1994)
ミツバチ
(1994-2000現在)

小さなコインのデザインにも様々な意味が込められているものですね。


おまけ ― ユーロ導入前のフランスのコインの中で最も特徴的なのはやはりこの20フランコインでしょう。

20フラン(1992)

1988年に発行されたバイメタルの10フランコインよりさらに高額のコインとして1992年に発行され、2種類の金属を3重に組み合わせている、豪華なデザインとなっています。

(2000/9/17執筆、2013/2/11更新)