銀河とレタス

天球に白く輝く天の川が美しい季節になってきました。天の川が英語で「Milky Way(ミルキー・ウェイ)」と呼ばれることは皆さんご存知だと思いますが、これはラテン語の「via lactea(ヴィア・ラクテア=乳の道)」を翻訳したものです。ラテン語の「lact-」は「lac(ラク=乳)」の語幹形ですが、漢字の「酪」も元はこの「lac」の音訳であるという説もあります。「café au lait(カフェ・オ・レ)」、「caffè latte(カフェ・ラッテ)」でお馴染みの、フランス語「lait(レ=乳)」、イタリア語「latte(ラッテ=乳)」はどちらもこの単語の子孫です。

乳に含まれる糖「lactose(ラクトース、化学式C12H22O11」は日本語には「乳糖」と訳されています。変わったところでは「lettuce(レティス=レタス)」も「lact-」の派生語。レタスの茎を切ると乳状の液体が出るところからこの名が付きました。レタスの和名「ちしゃ」も「乳草」の意味です。

一方ギリシャ語で「乳」を表す単語は「gala(ガラ)」。乳糖を加水分解するとできる物質「galactose(ガラクトース、化学式C6H12O6」の名前に使われています。そして感の良い方は既にお気づきのように「galaxy(ギャラクシー=銀河)」もまた「乳の道」の意味なのです。天の川がミルクのように白く輝いていた昔の星空はさぞかし綺麗だったのでしょうね。