愛すべきゼリー

猛暑の続くこの季節、喉に涼しいフルーツゼリー作りに凝っている私です。というわけで今回はゼリーにまつわる語源探求です。

ゼリーを固めるゼラチンは動物の骨や皮に含まれるタンパク質「Kollagen〔独〕(コラーゲン)」を処理して製造されます。魚を煮た汁がゼラチン状に固まるいわゆる煮凝りもこのコラーゲンの働きですが、工業的には牛や豚の皮が主な原料として使われています。コラーゲンの語源はギリシャ語の「kolla(コラ=膠)」で、日本語には「膠原質(こうげんしつ)」と訳されていますね。「kolla」の子孫には他に、高校化学で習う「colloid(コロイド)」や写真などを貼り付けて作る「collage〔仏〕(コラージュ)」があります。因みに日本語の「膠(にかわ)」の語源は製造法そのままに「煮皮」の意味です。

一方の「gelatine(ジェラチン=ゼラチン)」はどうでしょう。化学用語「Gel〔独〕(ゲル)」、整髪用の「gel(ジェル)」、「g」が「j」に変わった「jelly(ジェリー=ゼリー)」などの仲間がいますが、これらはすべてラテン語の「gel-(ゲル=凍らせる)」に由来します。イタリアのアイスクリーム「gelato(ジェラート)」、マロン・グラッセでお馴染みのフランスの砂糖漬け菓子「glacé(グラッセ→表面の砂糖が凍っているように見える)」と、"甘い"派生語が多い単語ですね。

食用だけでなく、薬のカプセル、写真のフィルム、接着剤など様々な分野でも使われているゼラチンですが、日本の家庭でデザート用ゼラチンの代名詞ともなっているのがマルハの「ゼライス」。パッケージに商品名の由来が書いてあるのですが、「ゼリーを愛す」を略して「ゼライス」なのだとか。この単純さが人気の秘密!?

(参考:『ゼラチン大百科』)