なんの花がひらいた

蓮の花が咲く季節になりました。今回は「蓮(はす)」に纏わるコトバ探索です。

まずは「はす」の読みから。「はす」は「はちす」が短くなったもので「蜂巣」の意味。蓮の花が散った後、種が入った穴がぽつぽつとある花托が、蜂の巣のように見えるところからこの名が付きました。

「はすね」と言えば蓮の根、すなわち「蓮根(れんこん)」のことですが、蓮の花のことを「蓮華(れんげ)」と呼びます。「蓮華」というと、水を張る前の田んぼに咲く小さな紅紫の花を思い浮かべる方も多いかと思いますが、あれは正しくは「蓮華草(れんげそう)」、別名「ゲンゲ」の花です。

「ひらいた、ひらいた、何の花がひらいた、蓮華の花がひらいた」の「蓮華」も、蓮華草ではなく、蓮の花のことです。歌に唄われている通り、朝開いた蓮の花は昼過ぎにはつぼみ、翌朝にまた咲く、ということを繰り返します。蓮とは種類は違うものの、同様に夜は花を閉じる「睡蓮(すいれん)」に、「睡」の字が使われているのも納得ですね。やはり睡蓮の仲間である「未草(ひつじぐさ)」は、未の刻(午後2時)頃に開花することからその名が付いたと言われます。

蓮は泥の中で育つにも関わらず美しい花を咲かせることから仏教において清浄のシンボルとなっており、「南無妙法蓮華経」でお馴染みの「法華経(←「妙法蓮華経」の略)」の名にもなっています。「日蓮」、「蓮如」といった僧の名前にも「蓮」の字がよく使われますね。また、極楽浄土に往生した人は蓮の花の上に座るとされており、仏像を載せる台座は蓮の形をした「蓮台(れんだい)」ですし、「一蓮托生(いちれんたくしょう)」とは、死後、同じ蓮に身を託す、すなわち死ぬまで運命を共にすることを意味します。

では最後に、蓮に関する雑学集で"おひらき"とさせていただきます。