穂刈さんの汗

日本語ではかっこいいネーミングも外国に持っていくととんでもない意味を持つことが多々あります。その元祖と言えるものが「鉄腕アトム」。直訳すれば「Mighty Atom(マイティー・アトム)」ですが、「原子」を意味するこの「atom」、実は「おなら」の隠語らしい。まぁ確かにアトムはお尻から発射する機関銃みたいな武器を持っているが、ちょっと洒落にならないということでNBCフィルムのマネージャの子供さんが考えた名前が「Astro Boy(アストロ・ボーイ)」なのだとか。

但しこの話をカナダ人の友達にしたら、「別にatomとおならはつながらないけどなぁ。」。「その代わり…」と彼女が(女の子にそんな話聞くな〜)教えてくれたおならの隠語表現が「Who cut the cheese!(=誰だ、チーズ切ったのは!)」。「誰だ、屁こいたのは!」の意味なのだそうです。確かにチーズのくさいやつはにおいますよね

また話がそれてしまいました。日本の怪獣映画「ラドン」も同様の理由で「Rodan(ロダン)」に変えられてしまいました。なんだか妙に賢そうな名前ですね(←ロダンの彫刻「考える人」のイメージによる)。というわけでどうやらアメリカ人にとっては「放射能」のイメージが「おなら」に結びつくようです(真偽のほどはさらなる調査要)。

これが飲み物の名前になるとことはさらに深刻です。アメリカで日本の2大珍名飲料というと「calpis(カルピス)」と「pocari sweat(ポカリ・スエット)」。日本人にとっては特に問題の無さそうな名前ですが、英語を母国語とする人は「calpis」の名から「cow piss(カウ・ピス=牛の小便)」を想像してしまいます(ことの重大性に気付いたカルピス飲料は北米では「calpico(カルピコ)」と名前を変えて販売しています)。一方の「pocari sweat」に対するアメリカ人の反応は「pocariが誰だか知らんがそんなやつの汗(=sweat)なんか飲みたくない」。日本人が外来語を好んで使う理由の一つは、日本語を使うよりも意味があいまいになり、直接的な表現を好まない日本人の感性に合うから、と言われますが、さすがのアメリカ人にとってもダイレクトに「汗」と書かれた飲料を飲む気にはならないようです。この謎の「pocari」さん、噂によるとこの飲料を開発した大塚製薬の社員「穂刈」さんに因むのだとか。これまた真偽のほどは確かではありません。

もちろん同様の問題は他の言語でも起こります。スペイン語の「G」や「J」は「H」に近い音として発音されるため、フランスの自動車会社「Peugeot(プジョー)」が「ペウヒョ」と呼ばれるなど、発音だけでも情けない印象を与えます。三菱の「Pajero(パジェロ)」もその一つで「パヘロ」と発音されますが、これが「paja(パハ=オ○ニー)」をイメージさせるらしく、よく笑われるよ、と言うのは日本から輸入された中古のパジェロに乗っている在ペルーの日本人の方の話でした。但し新車はスペイン語人口の多いアメリカも含めて「Montero(モンテーロ)」の名で売っているようです。同じく三菱の「Challenger(チャレンジャー)」という車がありますが、これもアメリカでは「Montero Sports」の名で売られています(走行中に爆発されてはたまりませんから)

最後に、Webで見付けた『Is your product tongue-tied?』から「商品命名4つのヒント」を引用して今回はお開きです。