なるほど職業姓

西洋の姓には先祖の職業を表すものが多くあります。有名どころでは日本の「服部(←機織り)」さんにあたる「Taylor〔英〕(テイラー)」や「Schneider〔独〕(シュナイダー)」、「鍛冶(←金打ち)」さんにあたる「Smith〔英〕(スミス)」や「Schmidt〔独〕(シュミット)」などがあります。話はちょっとそれますがイタリアの自動車会社「Ferrari(フェラーリ)」の創始者の名前も「鍛冶屋」の意味。鉄の元素記号「Fe」も親戚です。というわけで今回は「なるほど考えてみればそういう意味だなぁ」というような職業姓をご紹介しましょう。

ドイツの作曲家「Richard Wagner(リヒャルト・ヴァグナー)」、日本では「ワグナー」と呼ぶことが多いですがその意味は「車大工」。ドイツ語の「Wagen(ワーゲン)」は「車」の意味で、英語の「wagon(ワゴン)」にあたる単語です(英語の「carpenter(カーペンター=大工)」も元の意味は「車大工」)。「Volkswagen(=フォルクス・ワーゲン)」は「大衆の車」という意味ですね。但しこちらもドイツ語では「フォルクス・ヴァーゲン」と発音されます。因みに「Volk(フォルク)」は英語の「folk(フォーク)」にあたる単語。「folk dance(フォーク・ダンス=民族舞踊)」の「folk」です。「Volks(フォルクス)」といファミレスのチェーン店もありますね。

同じくドイツの作曲家「Robert Schumann(ロベルト・シューマン)」、こちらは英語に直せば「shoe man」。そうです、シューマンの先祖は靴屋さんだったのです。F1レーサーの「Michael Schumacher(ミハエル・シューマッハ)」も「shoe maker」の意味で同じく靴屋さんです。

その他にも、元アメリカ大統領の「Jimmy Carter(ジミー・カーター)」は「cart(カート=荷車)」を引く運送屋さん、短距離ランナー「Florence Joyner(フローレンス・ジョイナー)」は部品を「join(ジョイン=組み合せる)」する建具屋さん、英国の風景画家「William Turner(ウィリアム・ターナー)」はろくろを「turn(ターン=回す)」するろくろ職人、と多くの姓が先祖の職業に由来します。世界一の億万長者ともいわれるマイクロソフトの会長「Bill Gates(ビル・ゲイツ)」も先祖は「gate(ゲイト=門)」を守る門番でした(単に門の近くに住んでいたという可能性もありますが…)。

最後は「Tom Sawyer(トム・ソーヤー)」。「saw(ソー)」は「see」の過去形…じゃなくて「chain saw(チェーン・ソー=電動鋸)」の「saw(=鋸)」。ソーです「sawyer」は「木挽き」の意味だったのです。ソーヤったんか〜と言ってもらえればこれ幸いです