棒・盃・貨・剣
トランプの先祖はタロットカードです。現在最も一般的なタロットカードは78枚のカードからなり、そのうち22枚が大アルカナ、残りの56枚(14枚×4柄)が小アルカナと呼ばれ、この小アルカナに大アルカナ中の愚者のカード「Joker(ジョーカー)」を加えたのが現在のトランプの原形だと言われています。スペードは剣を図案化したもので王族や軍を、ハートは盃で僧職を、ダイヤモンドは貨幣で商人を、クラブは棍棒で農民を、それぞれ象徴しているのだとか。今回はこれら4つのマークをネタに雑学披露です。
まずはクラブから。そのマークの形から別名「三つ葉のクローバー」とも呼ばれますが、元々は棍棒をデザインしたもの。あの三つの出っ張りは棍棒の突起というわけです。殴られたらかなり痛そうですね。「ゴルフクラブ」は「ゴルフ倶楽部」のこともありますが、「打球棒」の意味にもなることを考えれば納得です。
焼き鳥屋で、心臓焼きのことを「ハツ」と呼びますがこれは「heart(ハート)」の複数形を短くしたもの(関連ページ「アホウドリ・カツオドリ」)。それにしても開国まで肉を食べなかった日本人が、今では西洋人でもあまり食べない内臓まで好んで食べるというのは面白いですね。因みに英語で「eat one's heart out」と言えば「(悲しみ・あこがれなどで)くよくよ考える」の意味となります。
ダイヤモンドのことをオランダ語で「diamant(ディアマント)」と言いますが、「ギヤマン」細工の名はこの単語がなまった物だと言われています。その理由はガラスをカットする道具にダイヤモンドを使ったから。一方スペイン語でダイヤモンドは「diamante(ディアマンテ)」。スリーダイヤを社章とする三菱自動車が期待を込めて売り出した高級車の車名であることは皆さんご存知の通りです。ところでこのダイヤのマークの形を「菱形」と呼びますが、この「菱」とは一体何だかご存知ですか?菱は水草の一種で沼や池に群生し、その実は食用になるのですが両側にトゲがあって「菱形」をしています。漢字に草冠がつくのも納得ですね。忍者の使った「撒き菱」はもともとは文字通りこの菱の実を撒いていた?
さて、ディアマンテの特別仕様車に「espada〔西〕(エスパーダ)」シリーズがあります。英語に直すと「spade(スペード)」シリーズ。三菱自動車が命名時にトランプを意識したのかどうかは定かではありません。ところでこのように英語では「s+子音」で始まる単語がスペイン語では「es+子音」の形に対応することがよくあります。スペイン語の辞書で「s」の項を引いても二文字目に子音が来る単語はほぼ無きに等しいほどです。何と言っても国の名前からして「España(エスパーニャ=スペイン)」ですから。ウワサによると清涼飲料「Sprite(スプライト)」を買う時ですら「エスプライト、por favor(ポル・ファボル=お願いします)」と言わなければ通じるとか通じないとか。
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