キャラメルの音色

日本にキャラメルを紹介したのは森永製菓創始者の森永太一郎氏。アメリカで製法を学んだものの、高温多湿の日本ではキャラメルがすぐにドロドロに溶けてしまって、苦労の連続だったとか。一粒づつワックスペーパーで包むことを思い付き、ようやく発売に漕ぎ付けました。

というわけで「caramel(キャラメル)」は英語ですが、この単語はフランス語の「caramel(カラメル)」が英語に入ったもの。プリンなどにかける「カラメル」はお菓子の本場フランスから伝わりました。

と言いつつも、フランス語の「caramel」も実はスペイン語(またはポルトガル語)の「caramelo(カラメロ=甘いもの)」からの借用語です。砂糖を熱して重曹で固めた軽石のようなお菓子を「軽目焼き(かるめやき)」と呼びますが、こちらも同じく「caramelo」が語源です。

「caramelo」をさらにさかのぼるとラテン語の「calamus(=葦)」にたどりつきます。つまり「サトウキビ」からの連想で甘いお菓子を指すようになっていったのです。この「calamus」から生まれた「caramelo」の兄弟がポルトガル語の「charamela(チャラメラ)」。もともとは葦で作った笛のことでしたが、日本ではラーメン屋の吹く「チャルメラ」としてお馴染みですね。


おまけ ― 英語で「葦」は「reed(リード)」。フランスの哲学者パスカルの著書「パンセ」の中の有名な一文「人間は考える葦である」は英語では「Man is a thinking reed.」です。管楽器の発音部に付ける薄片を「リード」と呼びますが、もともとは葦で作られていたというわけです。