パワー・オブ・アルファベット
日本語のひらがな・カタカナ・漢字の組み合わせによる表記法はかなりパワフルですが、アルファベットにしか出来ないこともあります。
アルファベットの一つの大きな特徴はやはりその数の少なさです。北米の電話のダイヤル部を見ると、
1 |
2 ABC |
3 DEF |
4 GHI |
5 JKL |
6 MNO |
7 PRS |
8 TUV |
9 WXY |
* | 0 | # |
のように各キー毎に3つのアルファベットが割り当ててあります。これによって例えばディズニーが「1-800-347639」という一見無意味な電話番号を取得して「1-800-DISNEYとダイヤルしてね!」と宣伝できるわけです(注:1-800は北米のフリーダイヤル番号です)。但し「0」と「1」はそれぞれ国際電話と市外通話のための番号なので使われておらず、ボタン面積の都合上か使用頻度の低い「Q」と「Z」は存在しません(最近ではそれぞれ「7」と「9」に無理矢理押し込んだものもあります)。同じ事を五十音でやろうとするとそれぞれのボタンのサイズを今の倍の大きさにする必要がありそうです。もっとも日本語には「4126(ヨイフロ→風呂屋)」「9696(クログロ→アデランス)」等の語呂合わせがあるのでその必要は無いかもしれません。
アルファベットのもう一つのメリットは各文字の発音の「短さ」です。北米の子供たちが五大湖の名前を覚える為のオマジナイは「HOMES(ホームズ)」。「Huron(ヒューロン)」、「Ontario(オンタリオ)」、「Michigan(ミシガン)」、「Erie(エリー)」、「Superior(スペリオール)」のそれぞれ頭文字を取ったものです。たったの1音節で5つの湖の名前を覚えるなんて日本語ではどう頑張っても無理ですね。因みに英語で最も長い音節は「strength(ストレングス)」だと言われています。
この「HOMES」のように頭文字を集めて作った単語のことを「acronym(アクロニム=頭字語)」と呼びますが、普段皆さんが何気なく使っているアクロニムたちをご紹介しましょう。
アクロニム | 原語 |
laser(レーザー) | lightwave amplification
by stimulated emission
of radiation (=誘導放出による光波の増幅) |
radar(レーダー) | radio detecting and ranging(=電波探知) |
scuba(スキューバ) | self-contained underwater breathing apparatus(=自給式水中呼吸装置) |
sonar(ソナー) | sound navigation ranging(=音波探知) |
modem(モデム) | modulator-demodulator(=変調器・復調器) |
jeep(ジープ) | general purpose vehicle(=汎用自動車)→G.P.より(但し異説もあり) |
単なるアルファベットの羅列である略語よりも覚えやすく、親しみが湧きますね。「CD」なんて言われても「compact disk(コンパクト・ディスク)」なのか「cash dispenser(キャッシュ・ディスペンサー)」なのか、はたまた「cadmium(カドミウム)」なのかいつも迷ってしまいますものね〜
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