カメラと仲間たち

シャッターを押すだけで見たままの光景が記録できる「camera(カメラ)」、この単語の本来の意味は「部屋」でした。カメラはレンズや感光剤の発達により実現した装置ですが、その基本原理は紀元前から知られていたという「小穴投影現象」。暗い部屋の一面に小さな穴をあけると反対側の壁に外の景色が上下左右逆向きに映るという現象です。この原理を応用して像を箱の中に投影させ、絵画のデッサンや日食の観測に使われた装置がラテン語で「camera obscura(カメラ・オブスクラ=暗い部屋)」と呼ばれており、これが現在の「camera」の名の由来です。

この「camera」の派生語に「chamber(チェインバー=部屋)」があります。日本語では「チャンバー」の発音で、実験用の低圧・高圧室やバイクの排気系統の部品など、中が空洞になっている部屋や容器を意味する語として各分野で使われています。また、ワイン用語で「chambré〔仏〕(シャンブレ)」と言えば室温においたワインのこと。「Chamberlain(チェンバレン)」という英語の姓は、部屋を取り仕切る「執事」の子孫であることを示唆しています。

「camera」の子孫としてもう一つ、「同室者」の意味から派生したフランス語の「camarade(カマラード=仲間)」があります。シボレーの一車種「Camaro(カマロ)」はこの単語から命名されています。ところでこの「camarade」、実は誰もが知ってる曲の歌詞に使われています。その曲とは「クラリネットをこわしちゃった」。そう、「♪オー、パッキャマラード」の部分はフランス語で「au pas camarade(=友よ歩こう)」という意味なのです(「au pas」を英語に直訳すれば「at the pace」)。これさえ知っていればもう「パッキャマラード」なのか「パッキャラマード」なのか迷わずに済みますね(えっ、早速迷ってるって?)