カード・ア・ラ・カルト

カードという言葉があります。もちろん英語の「card(カード)」から来た言葉で、厚目の小さな紙片は何でもカードと呼ばれるほど広く使われ、対応する日本語が無いほどですが、この言葉が結構面白いのです。

英語ではトランプのことも「cards(もちろん複数形)」と言います(因みに英語の「trump(トランプ)」は「切り札」の意味)が、この「card」に対応するポルトガル語が「carta(カルタ)」。そうです、日本のカード遊び「カルタ」は「歌留多」という漢字まで当てられていますが、もともとはポルトガル語だったんですね。

この「card」という単語、ドイツに行くと今度は「Karte(カルテ)」と名を変えます。言うまでもなくお医者さんの書く診療記録簿のこと。医学用語(というほどのものでも無いかもしれませんが…)はやはりドイツ語が多いです。

一方フランス語の「card」は「carte(カルト)」。日本でも「à la carte(ア・ラ・カルト)」の形で良く使われます。「carte」には日本語でいうところの「メニュー」の意味があり、「à la carte」は「メニューから選ぶ」すなわち「単品物」という意味になります。逆にフランス語の「menu(ムニュ)」には「(日替わり)定食」の意味があるので、「メニューください」のつもりで「Le menu, s'il vous plaît(ル・ムニュ、シル・ヴー・プレ)」なんて言うと定食が運ばれてきてしまいますのでご注意。「La carte, s'il vous plaît(ラ・カルト、シル・ヴー・プレ)」と言わなければなりません。

以上、同じ単語でも入ってくる国によって意味が違うという面白い例です。因みにカルト・クイズの「カルト」は「cult」と綴り、語源も違う単語です。