レはレレレのレ
今回は柄にも無く音楽のお話。以前から気になっていた「ドレミ」の語源が判明したのでご紹介しましょう。これは聖ヨハネの洗礼を歌ったラテン語の讃美歌「Ut queant laxis」に由来します。
Ut queant laxis
Resonare fibris
Mira gestorum
Famuli tuorum:
Solve polluti,
Labii reatum, Sancte Ioannes.
意味はわかりません。11世紀、イタリアの僧侶「Guido d'Aresso(グイド・ダレッツォ)」さんが、この讃美歌の各行の最初の音がそれぞれ今で言うところのド、レ、ミ、ファ、ソ、ラだったことを利用して弟子に音程を教えたことから「Ut, Re, Mi, Fa, Sol, La」の6音の名がつけられたのがはじまり。後に「Ut」では声が出しにくいことから「Do」に置き換えられ(フランス語では現在も「Ut(ユト)」です)、最後の「Sancte Ioannes(=聖ヨハネ)」の頭文字を取って第7音「Si」が加えられたのが現在のドレミです。国によって7番目の音が「Ti(ティー)」と発音されるのは、「Si」の頭文字「S」が「Sol」と重複しないように「T」に置き換えられたからです(参考:『The Catholic Encyclopedia』)。
ここで、映画「サウンド・オブ・ミュージック」を見たことの無い方のために、「ドレミの歌」日本語バージョン、英語バージョンの対応表を挙げてみましょう。
日本語 | 英語 | |
ド−Do | ドーナツ | doe(=雌鹿) |
レ−Re | レモン | ray(=光) |
ミ−Mi | みんな | me(=私) |
ファ−Fa | ファイト | far(=遠い) |
ソ−Sol | そら | sew(=縫う) |
ラ−La | ラッパ | la(=ソの次の音) |
シ−Ti | しあわせ | tea(=紅茶) |
日本語バージョンはペギー葉山作詞です。レモンは「lemon」、ラッパは「roeper〔蘭〕」だから「L」と「R」は逆になっちゃってますね(関係ないけどラッパって漢字で「喇叭」と書くんですね、今初めて知った)。しかし「R」で始まる「レ」のつく単語を考えろと言われると結構これが難しい。いわゆる大和言葉には、江戸時代にロシアを「おろしあ」と呼んでいたことからも分かるようにラ行で始まる単語は発音しにくいと嫌われていたため、「れ」で始まる単語は皆無に等しい。漢語だとちょっと堅くなってしまうしなぁ。英語では「Röntgen(レントゲン)」のことを「X-ray」と言うから「レントゲンのレ」なんてのも気が利いているかもしれません。そうだ、「レレレのレ」ってのはどうですか?
『言語学のお散歩』の金川さんにこんな裏話を教えていただきました。
日本のペギー葉山の方は食べ物で統一しようと思いました。ドーナツとレモン、ミカンときたのですが、ファがなくて(ファンタしかなかった!)ファイトにしたために、全体を食べ物という構想はなくなったという話をラジオで本人から聞いたことがあります。
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