アンコールはまだ?

外来語というのはそのほとんどが名詞ですが、一頃フランスに留学していた(かつ自分のフランス語をひけらかしたがった)文士が多かったせいか、フランス語には前置詞、副詞までもが名詞として入ってきているものがいくつか見受けられます。

その一つが「avec(アヴェック)」。最近では英語の「couple(カップル)」に押され気味のこの言葉、英語で言えば単に「with(=と一緒に)」にあたる前置詞なんです。

また、コンサートの後の定番「encore(アンコール)」は英語で言えば「yet(=まだ)」の意味にあたるフランス語の副詞。「アンコール、アンコール!」と言うのは何てことはない「まだ、まだ!」と叫んでいるというわけ。

もう一つ、日本語には「既視感」と訳される「déjà vu(デジャ ヴ)」という言葉がありますが、これもフランス語です。「déjà」は「already」、「vu」は「voir(=see)」の過去分詞で、「already seen」の意。ニュースグループの検索サイトに「Deja News」というページがありますが、このdejaも同じ意味ですね。


訂正 ― 読者の方に、再演奏を求めるのに「アンコール」と言うのは英語が元になっているのでは?とのご指摘を頂きました。調べてみると、フランスでこの用法で使われていたという証拠はないようで、英語経由で入ってきた言葉のようです。