マーガリンは白いか

かつては人造バターとも呼ばれていた「margarine(マーガリン)」、この名の語源を追ってみましょう。

ナポレオンV世がバターよりも安く作れて日持ちのする代用品を公募し、これに応えてメージュ・ムーリエという科学者が1869年に考案したのがマーガリンの始まりですが、その名はギリシャ語の「margarites(マルガリテス=真珠)」から名付けられました。「バターに比べると白いから」「製造工程で出来る粒子が真珠に似ているから」との説があります。マーガリンは別に白くないのでは?とおっしゃる方も多いかもしれませんが、マーガリン自体は本来真っ白なものであって、市販のマーガリンは美味しそうに見せるためにバターに似た色に着色してあるのです。

「Marguerite(マーガレット)」という白い花がありますがこの語源も実は同じ。女性の名前「Margaret(マーガレット)」もありますね。さてこのマーガレット、イタリア語では「margherita(マルゲリータ)」となります。あのトマトとモッツァレラチーズだけを乗せて焼くシンプルなピザの名前です。これまた上に乗っているモッツァレラチーズが白いからかというと実は違って、ナポリの「Margherita」王妃がピザのコンテストを開催したところ、優勝したのがこのピザだったことからの命名です。因みにこのピザの上のトマトの赤、チーズの白、バジリコの緑はイタリアの国旗を表しているとか(こんなページを発見→『イタリア料理命名エピソード』)。

もう一つおまけに、カクテルの「Margarita(マルガリータ)」もスペイン語の女性の名前。このカクテルを発明したバーテンダーの初恋の相手だということです。