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日本人がつい意味を誤解しやすいカタカナ語をいくつか。

ホテルの「スイート・ルーム」を英語で綴ってみてください。「甘い」新婚カップルが泊まる部屋との発想から思わず「sweet room」と書いてしまいがちですが、正しくは「suite room」と綴ります(発音は全く同じ、但し英語では単に「suite」と言うのが普通です)。「suite」は「suit(スート=スーツ)」と同語源で、「一揃いの」の意味。トランプの10,J,Q,K,Aの5枚を「royal suit(ロイヤル・スート)」と言ったりしますね。というわけで、寝室、居間、浴室が揃った部屋がスイート・ルームです。

突然の雨などで中止された試合「コールド・ゲーム」はいかがでしょう?雨が降って「寒い」から「cold game」…ではなくて「called game」が正解。「call」には「中止させる」の意味があるのです。英単語が日本語に取りこまれる場合には、「iced tea」→「アイス・ティー」のように過去分詞の語尾「-ed」が無くなる場合が多いのですが、これは珍しく残っている例です。

では「がらくた市」を意味する「フリー・マーケット」を綴ってみてください。誰でも「自由」に参加できる市場との発想で「free market」…というのは間違いで、正しい綴りは「flea market」。「flea」は「蚤」の意味で、日本語にも「蚤の市」と訳されていますね。古着が多く売られていたパリの路上市場が冗談でそう呼ばれていたことに由来します。「free」には「無料の」の意味もあるので、「free market」と言うと「何でもタダの市場」と勘違いされるかも!?、と思ったらそうでは無く、「自由競争の市場」あるいは「免税市場」という意味になります。

話はそれますが、漢字で同じ「市場」と書いても、訓読みの「いちば」と音読みの「しじょう」は、全然違うニュアンスを持つという現象、面白いと思いませんか?他にも「工場(こうば、こうじょう)」、「草原(くさはら、そうげん)」、「風車(かざぐるま、ふうしゃ)」など、音読みのほうが規模の大きいものを表すことが不思議と多いです。

話をもとに戻しましょう。さて、この「free」が名詞の後に付くと「duty free(デューティー・フリー=免税)」の例に見られるように「…がない」の意味になり、これまたよく誤解を生む原因です(因みに「無料の」の意味も「free of charge(=課金がない)」から派生しています)。海外で「smoke free(スモーク・フリー)」との張り紙を見たら「ここでタバコを吸ってもいいですよ」ではなくて「禁煙」の意味。「fat free(ファット・フリー)」のチーズやヨーグルトは「御自由にお太りください」…なんてわけはなく「脂肪分ゼロ」なのです。

これを読んで「そんなこと知ってるよ〜ん」なんて思っているあなた、ホームページに「リンク・フリー」なんて書いていませんか?…なんて言っている私も一時期書いてました。まぁ意味が通じればそれで良いんですよ、うんうん


おまけ ― では英語では「リンク・フリー」ってなんて言うの?との質問を頂いたので、ネイティブスピーカーに尋ねてみたのですが、「そんなことが書いてあるページをそもそも見たことがない。決まった言い回しはないと思う。自分の好きなように書けばいいんじゃない?」とのことでした。どうしても英語で書きたい方は「free to link your page to(with) mine」、あるいは「free to link my page from yours」と書けば通じるでしょう。「link」の目的語がその後に来る前置詞によってリンク元になったりリンク先になったりするのが面白いですね。因みに中国語では「自由鏈接」と書きます。アジア人はリンク好き?