ジパングの由来
「Agの国」では国名の由来をいくつか挙げましたが、では一体なぜ「日本」は英語で「Japan(ジャパン)」と呼ばれているのでしょうか
マルコ・ポーロが東方見聞録の中で「Zipangu(ジパング)」として紹介したことにより、日本が西洋に広く知られるようになったというのは周知の通りで、「Japan」はこの「Zipangu」に由来することは容易に想像できますが、「Zipangu」と「にほん」にはまだかなりの隔たりがありますね(因みにマルコ・ポーロはイタリア(ヴェネチア)の人ですが、現在はイタリア語では日本のことを「Giappone(ジャポン)」と言います)。マルコ・ポーロは実際に日本に来たわけではなく、中国(元の時代)の人のから日本のことを伝え聞いたに過ぎません。当然国名は中国語読みだったわけです。現在、中国の標準語(北京で使われている中国語)では「日本」は「ジーベン」と発音されます。「日」が「ジツ」という音読みを持っていることを考えれば納得ですね。今から700年も前のことで、しかも元はモンゴル系の国なので、マルコ・ポーロの聞いた発音はこれとは違っただろうと思われますが、いずれにしても「Zipangu」に近いものだったのでしょう。
「Japan」の由来が分かると、今度はなぜ「中国」は「China(チャイナ)」なのか、という疑問が湧いてきます。当然中国は日本より以前から西洋に知られていたわけで、その名は紀元前の国名「秦[中国統一B.C.221-B.C.206]」に由来します。フランス語では「Chine」と綴って「シン」と発音します。「シナ」という俗称もここから来ていて、「シナ」の東の海が「東シナ海」、「インド」と「シナ」の間にある地域が「インドシナ」というわけです。話はそれますが、フランス語で英語の「Chinese(チャイニーズ=中国の)」にあたる単語は「Chinois(シノワ)」と言います。最近この名をつけているレストランが増えてきたので聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。料理の好きな人ならばご存知のように、この単語にはもう一つ「瀘し器」の意味もあります。これはこの瀘し器が円錐形をしていて、中国人のかぶっている笠に形が似ているからだとか(でも日本人にとっては中国というよりはベトナムの笠といったほうがピンと来ますね)。英語ではこの瀘し器のことを「China cap」と呼びます(「hat」のような気もするけど「cap」なんですね)。因みに香港の航空会社「Cathay Pacific(キャセイ・パシフィック)」の「Cathay」も「中国」の意味ですが、こちらはかつての「契丹[916-1125]」王朝に由来します。
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