アルファベットの歴史(2)
→前話よりつづく
ローマ時代に入るとギリシャ文字からラテン語を表すためのラテンアルファベットが発明されます。「C」は「Γ(ガンマ)」の変形ですが、発音の区別のために「G」が別れました。但しギリシャ文字の直系であるキリル文字では「C」は「Σ(シグマ)」の変形として現れます。旧ソ連の略称「СССР」は対応するラテン文字に置き換えれば「SSSR」、「エッセッセッセール」と発音します ^^;。「Y」、「Z」の2文字はギリシャ語の単語を書き表すためだけに残された文字で、今でもこれらの文字を含む単語にはギリシャ語起源のものが多くあります。「Y」はイタリア語では「i greca(イ・グレッカ)」、フランス語では「i grec(イ・グレック)」と呼ばれ、共に「ギリシャのI」の意味です。
前話の対応表をよく見ると「J」、「U」、「W」の3文字が無いことに気付きます。これらの文字は比較的新しく、中世まで「J」は「I」、「U」は「V」と区別されていませんでした。「BVLGARI(ブルガリ)」はわざと当時の表記法に従ってブランド感(?)を出しています。その後「I」、「U」は母音として、「J」、「V」は子音として使われるように分化していきます。発音記号の「j」の発音もそう考えると納得ですね。「J」はイタリア語では「i lunga(イ・ルンガ=長いI)」と呼ばれ、「I」から派生したことを示唆しています。「W」は「U」または「V」を二つ重ねて作られた文字で、英語の「double u(ダブリュー=二つのU)」に対してフランス語では「double v(ドゥブル・ヴェ=二つのV)」、イタリア語では「v doppia(ヴー・ドッピア=二つのV)」と呼ばれ、「U」と「V」の区別が無かった頃を偲ばせます。
ラテンアルファベットにおける偉大な発明としては「?」や「!」などの記号が挙げられるでしょう。「?」はラテン語の「quaestio(クアイスティオ=疑問)」の最初と最後の2文字「qo」を、「!」はラテン語で感動したときに発する声「io(イオ)」(中国語の「アイヤ!」みたい?^^;)の2文字を、それぞれ縦に並べて書いたものです(「?」については諸説あり)。「&」もラテン語で「and」を意味する「et」から。「et cetera(エト・セトラ=その他もろもろ)」の「et」です。シーザーの「Et tu, Brutus!」は「ブルータス、おまえもか!」と訳されてますね。この「et」が「et」→「」→「」→「&」と変化しました。これを知っていればもう書くときに「S」の筆記体と間違えることはありませんね!?
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