マイケルさん七変化
西洋の人名の多くは聖書の登場人物に由来します。例えば天使の中でも最も偉いとされる大天使「Michael(ミカエル)」の名は、
言語 | 綴り | 発音 | 例 |
英語 | Michael | マイケル | マイケル・ジャクソン(歌手) |
ドイツ語 | Michael | ミヒャエル | ミヒャエル・エンデ(作家) |
フランス語 | Michel | ミシェル | ミシェル・ド・ノストラダムス(予言家) |
ポルトガル語 | Miguel | ミゲル | 千々石ミゲル(少年使節) |
ロシア語 | Mikhail | ミハイル | ミハイル・ゴルバチョフ(政治家) |
と、言語によって様々に変化します。因みにイタリアの芸術家「Michelangelo(ミケランジェロ)」の名は「Michel」+「angelo(=天使)」で「天使ミカエル」の意味です。
英語のマイケルには「Mike(マイク、例:マイク・タイソン)」、「Mick(ミック、例:ミック・ジャガー)」、「Mickey(ミッキー、例:ミッキー・マウス)」などの愛称もありますね。ということは、ミッキーマウスの本名は「マイケル・マウス」だったりして?一方ロシアの「ミハイル」さんの愛称は「Misha(ミーシャ)」です。
もっとすごいのが「ヨハネによる福音書」のヨハネさんです(関係ないけど「福音」はドイツ語で「Evangel(エヴァンゲル)」、「エヴァンゲリオン」の語源です)。
言語 | 綴り | 発音 | 例 |
英語 | John | ジョン | ジョン・F・ケネディ(政治家) |
アイルランド語 | Sean | ショーン | ショーン・コネリー(映画俳優) |
ドイツ語 | Johann | ヨハン | ヨハン・S・バッハ(作曲家) |
オランダ語 | Jan | ヤン | ヤン・ヨーステン(家康に仕えたオランダ人) |
フランス語 | Jean | ジャン | ジャン・J・ルソー(思想家) |
スペイン語 | Juan | フアン | フアン・A・サマランチ(IOC会長) |
イタリア語 | Giovanni | ジョヴァンニ | 「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)の主人公 |
ロシア語 | Ivan | イワン | 「イワンのばか」(トルストイ)の主人公 |
アルファベットの中でも「J」は比較的新しい文字で、言語によって様々に発音されていることが分かります。英語の「John(ジョン)」の綴りに「h」が入るのは「ヨハネ」さん譲りだったんですね。脱線ですが、東京中央区の「八重洲」は、ヤン・ヨーステンに因んで付けられました。
他の「〜による福音書」シリーズの皆さんも、「マタイ」が「Matthew(マシュー)」になったり、「マルコ」が「Mark(マーク)」になったりして、日本人にとっては何だかありがたみが半減するような気がします。「母をたずねて三千里」の主人公マルコの名も「マーク」だったらかなり印象が違いますね。英語で書かれた旅行ガイドは他の国の地名にまでこの変換を当てはめて、イタリアの「San Marco(サン・マルコ)」寺院のことを「Saint Mark(セイント・マーク)」と記述していたりするので、道に迷わないようにご注意!
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