各国マウス事情
パソコンの操作に使うマウス、英語でももちろん「mouse(=ネズミ)」ですが、ではその複数形は?と聞かれると、英語のネイティブスピーカーでも一瞬困ってしまいます。「ネズミ」の意の「mouse」の複数形は当然「mice(マイス)」ですが、これをそのまま当てはめるのはちょっと違和感があるようなのです。実際には次の3通りの言い方が使われています。
- 違和感は無視して「two mice」。
- 問題を避けて「two devices of mouse」。
- 素直に(?)「two mouses」。
というわけで、英語の試験で「mouse」の複数形を「mouses」と書いてしまって×をつけられても、先生に抗議してみる価値はありそうです。
ドイツ語では名詞に単複のみでなく性の区別があり、ことをさらに複雑にします。動物を表す単語にも「Hund(フント=犬)」は男性名詞、「Katze(カッツェ=猫)」は女性名詞と、実際の雌雄には関係の無い性区別があります。「mouse」にあたる「Maus(マウス)」は女性名詞。果たしてコンピューターのマウスにもこの法則を当てはめて良いのだろうか?との議論が起きるのだそうです。
それに比べて単複も性も無い日本語は平和だなぁ、というのは大間違い。私の過去の失敗談をご紹介して今回を締めくくりましょう。
会社のものを社外に持ち出すのに「持出証」なる書類がいるところもあると思います。私の会社の場合さらに「個数を単位もつけて記入するように」という掟も。当時新人だった私、パソコンのマウスを持ち出すときに単位を何にすべきか考え込んでしまいました。「個」は安易過ぎるし、かといって「台」は大げさだなぁ、などと迷った末、「1匹」と書いて提出したら、守衛のおじさんはカンカン。結局、課長印までもらって修正するハメに。ああ、ハズカシ…
そう、日本語には「単位」があるのです。
おまけ ― マウスに関する雑学を一つ。マウスの動きをコンピュータ本体に伝える信号の単位は、何と「mickey(ミッキー)」。1ミッキーはマウスが約1/200インチ移動したことを表します。なかなか遊び心のある単位ですね。
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