ラッキーナンバー東西

第13話ということで、縁起の良い話を。

西洋でラッキーナンバーと言えば7。逆に嫌われる数字は13ですが、これはご存知のようにどちらもキリスト教に関係があり、神様がこの世界を作って最初に休憩したのが7日目、キリストが十字架にかかって死んだのが13日の金曜日(あるいは最後の晩餐の出席者がキリスト+12人の弟子で13人)、というように宗教上の理由によります。

ところが、日本語や中国語では、漢字という複雑な文字を使うことから「中国、茶・茶・茶」でご紹介したような文字遊びによる縁起数や(例:八→末広がり→めでたい)、音節の種類が少ないことから語呂合わせによる縁起担ぎ(例:四→死→縁起が悪い)の例が多くあります。

日本のラッキー、アンラッキーナンバーは今更説明するまでもないので、中国の例を見てみましょう。中国でも「八(バー)」はラッキーナンバーです。その理由は日本と違って「発(バー)」と発音が同じだから。それにしても中国人の8に対する執着は日本人のそれをはるかに上回るものがあって、ビルの竣工式等のめでたいイベントは必ず8のつく日にとりおこなうのだとか。私の現在住んでいるカナダでも、ナンバーに8を多く含む車を見たら中国人の車と思ってまず間違い無いとまで言われています(ホントか!?)。他に「三(サン)」は「生(シャン)」、「九(ジウ)」は「久(ジウ)」と発音が似ているため縁起数、「四(スー)」は日本と同じ理由で良くない数字です。

数字以外でよく見かける中国の縁起物といえば、よく中華料理店の壁に「福」と書いてある赤いひし形の布が逆さに掛けてあるのを見かけます。これは「福倒了(フーダオラ)」と呼ばれるもので、「福到了(=福がやってくる)」と「福倒了(=福がひっくり返っている)」の同音語を掛けたものです。

一方、英語のように同音異義語が少ない言語では語呂合わせがむずかしいため、欧米の学生は暗記に苦労しているようです。例えば九九は日本語ならば「ニニンガシ、ニサンガロク、…」と語呂良く覚えることができますが、アメリカの小学生はそのまま「two times two equals four, two times three equals six,…」と丸暗記をします。円周率π≒3.14159265も「産医師異国に向こう」なんて語呂合わせはできませんから、「May I have a large container of coffee?」などと、単語の長さを使って覚えたりするとか。暗記の苦手な私は日本人に生まれてよかったと思います(でもその分、数千もの漢字を覚えさせられてきたわけですが^_^;)。それにしても日本の語呂合わせシリーズの中で一番すごいのはやはり「√5≒2.2360679=富士山麓オーム鳴く」。ノストラダムスも真っ青ですよね。

注:文中の中国語の発音は北京語で書いてます。広東語は多少違います。