手球足球

サッカーのワールドカップ、盛りあがってますね。ところでこのスポーツを「soccer(サッカー)」と呼んでいるのはアメリカやオーストラリア等少数派で、多くの国では「football(フットボール)」もしくはその借用語を使っています。日本でも競技名こそサッカーですが、チーム名は「football club」の略で「FC」とすることが多いですね。近代サッカーはイギリスが発祥の地。当時イギリスでは様々なルールのフットボールが行われていたのですが、1863年にロンドンのフットボール協会が、ボールを持つことが許される「rugby football(ラグビー・フットボール←発祥地に由来)」と、足のみしか使ってはいけない「association football(アソシエーション・フットボール=協会式フットボール)」とに分けて、ルールを統一しました。この「association」を当時の学生が短縮して使用した俗語が「soccer」という単語なのです。比較的新しい言葉なのですね。

さて、日本語でフットボールのことを漢字で「蹴球(しゅうきゅう)」と書いたりしますが、ラグビーやアメフトを区別するため、サッカーは「ア式蹴球」、ラグビーは「ラ式蹴球」、アメフトは「米式蹴球」と呼ばれていたこともあります。このサッカーの「ア」は前述した「association」の頭文字です。また、ラグビーには「闘球(とうきゅう)」、アメフトには「鎧球(がいきゅう)」の別名もあり、どちらもそれぞれの競技の特徴をよく表していますね。というわけでその他の球技の漢字表現も辞書で調べてみました。

訳語 英語
野球(やきゅう) baseball(ベースボール)
籠球(ろうきゅう)
籃球(らんきゅう)
basketball(バスケットボール)
排球(はいきゅう) volleyball(バレーボール)
庭球(ていきゅう) tennis(テニス)
卓球(たっきゅう) table tennis(テーブル・テニス)
送球(そうきゅう) handball(ハンドボール)
避球(ひきゅう) dodgeball(ドッジボール)
氷球(ひょうきゅう) ice hockey(アイス・ホッケー)
水球(すいきゅう) water polo(ウォーター・ポロ)
撞球(どうきゅう) billiards(ビリヤード)

ウェブを検索すると「羽球(うきゅう?=バドミントン)」、「杖球(じょうきゅう?=ホッケー)」、「門球(もんきゅう=ゲートボール)」なども(特にクラブ等の名称として)使われているようです。但し中国語では同じ競技を表すのに日本と違う漢字を使うものが多くあります。例えば野球は「棒球」、サッカーは「足球」、ハンドボールは「手球」といった具合。日本の訳語より随分と分かりやすいですね。( ^-^)


おまけ ― ベースボールが大好きでその発展にも貢献し、今年(2002年)には野球殿堂入りも果たした俳人正岡子規は、その幼名「升(のぼる)」に因む「野球(のぼーる)」という雅号を持っていました。これが「野球(やきゅう)」の名の元となったという説もあります。