星の力

「influenza(インフルエンザ)」が流行の兆しを見せているようですが、皆さんお元気ですか?英語の日常会話では略して「flu(フルー)」、予防接種のことは「flu shot(フルー・ショット)」と言いますが、私は最初この言葉を聞いた時、「full shot(フル・ショット)」と聞こえて何のことやらさっぱりわからなかったものです。

「influenza」はイタリア語で「influence(インフルエンス=影響)」にあたる単語で、元の意味は「influenza degli stelli(インフルエンツァ・デグリ・ステリ=星の感応力)」。星の光が体内に流れ込み人の心身に影響を与える、という中世の思想から発生した言葉で、後に天体の影響とみなされた伝染病を意味するようになりました。「flu」の部分が「fluid(フルイッド=液体)」や「fluent(フルーエント=流暢な)」と同源で「流れる」の意味ですので、日本語の「流感」はピッタリの訳語だったのですが、今日では滅多に使われなくなりました(本当は「行性冒」の略なのですが…(^^ゞ)。

「disaster(ディザスター=災害)」も占星術の用語から出た言葉。ギリシャ語で「星」を意味する「aster(アステル)」に否定を表す「dis-」が付いて「悪い星の下」の意味です。「consider(コンシダー=熟考する)」も「共にある」という意味の「con-」+ラテン語「sidus(シドゥス=星)」で「星と共にある」=「物事を良く考える」になりました。

「星」を語源とする単語には他に「astronaut(アストロノート=宇宙飛行士)」、「asterisk(アスタリスク=星印)」、「asteroid(アスタロイド=小惑星)」、「constellation(コンステレーション=星座)」などがありますが、「ステラおばさんのクッキー(人名「Sterra」より、同名の映画もありました)」、「銀座アスター(高級ホテルの名前およびキク科の植物の名前「aster」より、根が増えるので縁起が良いとのこと)」、「アストロ(GM社のバン)」、「アストラ(ウルトラマンレオの弟、でもなぜか女性形 ^^;)」など、固有名詞も星の数ほど…とまではいきませんが、数多くありますね。


おまけ ― 片岡物産のスティックコーヒー「Astoria(アストリア)」は直接「星」に関係する名前では無いとのこと。NHKの衛星放送雑誌「Stera(ステラ)」も「Satellite Television Radio」の略だそうで、こちらも「星」との関係は無いようです。