七面鳥七変化
米国で「Thanksgiving Day(サンクスギビング・デー=感謝祭)」に欠かせない料理が「turkey(ターキー=七面鳥)」の丸焼き。北米原産のキジ科の鳥ですが、なぜ「Turkey(ターキー=トルコ)」と呼ばれるのでしょうか?もともと「turkey」は、アフリカからトルコを通ってヨーロッパに紹介されたホロホロ鳥を指す言葉でした。ところが新大陸にいた七面鳥がこのホロホロ鳥に似ていたために「turkey」と名付けられてしまったというわけ。七面鳥の方がホロホロ鳥よりも大きくておいしかったためか、本家のホロホロ鳥は名前を奪われ、現在では「guinea fowl(ギニア・ファウル)」と呼ばれるようになってしまいました。因みにボウリング用語のターキーは、かつてボウリング場で3回連続してストライクを出すと七面鳥の料理がプレゼントされたことに由来します(諸説あり)。
では当のトルコで七面鳥を何と呼ぶのかと言えば、なんと「hindi(ヒンディ=インドの)」。フランス語では「dinde(ダンド)」ですが、こちらも「coq d'Inde(コック・ダンド)」が略されたもので意味はやはり「インドの鶏」。理由については諸説あります。
- 発見当初、アメリカ大陸はインドの一部と思われていたため。
- かつて「インド」は、現在のエチオピア周辺(ホロホロ鳥の生息地)を指す地名だったため。
- アメリカ大陸で発見された七面鳥が、まわりまわってインド経由で紹介されたため。
- エキゾチックなものを「インドのもの」と呼んだため。
個人的には、インドのクジャクと間違えたため、なんて説があると楽しいのに、と思ったりします。他の国でも七面鳥は、ギリシャ語で「フランスの鶏」、ポルトガル語で「ペルー」、マレー語で「オランダの鶏」と呼ばれ、出生地について相当の混乱を来たしています。
ところで現在の米国の国鳥はハクトウワシですが、建国当時、ベンジャミン・フランクリンはこれに反対で、むしろ北米ネイティブである七面鳥を国鳥にしたかったという話があります。これが実現していれば、アメリカももう少しオトナシイ国になっていたかも!?
おまけ ― トルコの名の付くものに「トルコ石(ターコイズ)」、「トルコライス」、「(ソープランドの旧称としての)トルコ風呂」などがありますが、いずれもトルコ発祥のものではありません。興味のある方はウェブを検索してみてください。
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