粒ぞろい

七面鳥七変化」に出てきたトルコ石は12月の誕生石ですが、1月の誕生石は「garnet(ガーネット)」、日本語では「柘榴石(ざくろいし)」と呼ばれます。これは、結晶の粒が集まった様が柘榴のように見えるから。「garnet」の語源がラテン語の「granatum(グラナトゥム=柘榴)」ですので、これを意訳したものでしょう。なお、英語では柘榴のことを「pomegranate(ポムグラニット)」と言います(「pome」については「ポンカレー」を参照)。世界遺産アルハンブラ宮殿で有名なスペインの「Granada(グラナダ)」の地名は、この地に柘榴が多く生えていたことに因むとか、いやそうではないとか言われますが、いずれにしろ現在は市のシンボルマークとして柘榴が市民権を得ています(1492年の無血開城を記念して、必ず「割れた」柘榴を描くのだとか)。

さて、柘榴の「榴」の字が使われる別の熟語に「手榴弾(しゅりゅうだん)」がありますが、こちらは英語の「hand grenade(ハンド・グリネード)」の意訳。柘榴のように粒状の炸薬を詰めた爆弾が「grenade(=榴弾)」というわけです。なお、「柘榴」は原産地であるイラン西部のザグロス山脈を中国で音訳したものであり、日本語のザクロはこれを「ジャクロ」と音読みしたものと言われます(他説もあり)。

「granatum」は「granum〔羅〕(グラヌム=殻粒)」の形容詞形です。この語から派生した言葉には、英語の「grain(グレイン)」、日本語で「グラニュー糖」となった「granulated suger(グラニュレイティッド・シュガー=顆粒の砂糖)」、全粒の穀類が入ったシリアル「granola(グラノーラ)」、粒子状の模様が美しい「granite(グラニット=花崗岩)」などがあります。昨今は、屋根裏部屋をちょっとかっこよく「grenier〔仏〕(グルニエ)」と呼んだりしますが、この語も元々は「穀倉」の意味なのです。


おまけ ― 男性の中に女性が一人だけ、という状態を「紅一点」と呼びますが、これは中国の王安石が作った「石榴詩」の中で、新緑の柘榴の木に赤い花がぽつりと咲いた様を記した「万緑叢中紅一点」に由来します。ということは男が一人だけの状態は「白一点」でも「黒一点」でも「青一点」でもなく「緑一点」!?